セホシテンジクダイ

セホシテンジクダイ 11/03/2007 屋久島

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約1年ぶりで屋久島に行ってきました。生憎、着いたその日ぐらいから冬型の気圧配置となり、冷たい北風が吹き海も荒れ模様・・・。ガイドのしげるクンにも「なんで、さかなの多いベストシーズン(6~8月)に来てくれないんですか!」と言われてしまいましたが、それでも水中は暖かくそれなりにさかなもたくさん見ることができました。それに、なんだかんだ言っても屋久島では毎回「へぇーっ!」という発見があるのが面白いところ。今回も、これまで見たこともない珍しいテンジクダイに出会うことができました。セホシテンジクダイと言って、インドネシアなど海外ではまあ普通に見られるようですが、日本では沖縄の一部から報告があるぐらいの稀種。屋久島のような高緯度で見られるとは普通考えられないことです。海外ではモルッカン・カーディナルフィッシュ(Apogon moluccensis)と呼ばれるよく似た種がいて、セホシテンジクダイ(A.ventrifasciatus)と混同されているとされていましたが、最新の研究によると両種は同じ種だということが分かり、和名セホシテンジクダイの学名はA.moluccensisに落ち着くことになりそうです。ああ、ややこしい・・・。


根の上の中層まで浮き上がり求愛中・・・。

「稀種」と言うといったいどんなさかななのか、いやが上にも期待してしまいますが、実際お目にかかったセホシテンジクダイは一見キンセンイシモチを地味にしたような感じ。しかし、驚いたことにそのパッチリーフにはクロホシイシモチの次ぐらいに数がいて、しかもその大部分が求愛しているのです。つまりたまたま潮流に乗って流れ着いたというのではなく、この場所で繁殖もしているということ。確認されたのも北限なら、繁殖の確認も同時に北限というわけです。しかし、このポイントは何回か潜っているのにいままで気づかなかったのはなぜなのでしょうか? まさか、地球温暖化で急速にここまで棲息範囲が拡がったということ?
さて、初めての出会いが求愛中ということで、これは産卵まで行くかな?・・・・としばらく見ていました。最初に見たペアはリーフのいちばん下の陰で砂地に近いところにおり、ペアが寄り添ってメスと思われるほうが時々身体を小刻みに震わせながら相手に密着していきます。見た目もそっくりだけど、求愛の仕方までキンセンイシモチによく似ています。次に、根の反対側に行くと、もう少し上のほうで求愛中のペアが見られました。求愛のやり方は最初のペアと同じなのですが、面白いのはメスのほうがオスの下側に潜り込むようにして、身体を震わせながら上のほうに持ち上げようとしているように見えるのです。伊豆でクロホシイシモチの産卵を見た感じからしても、産卵はやや中層で行われるので、メスがオスを促しているのだと思われました。そこで、根の頂上に目をやると、案の定いくつかのペアが完全に中層に浮き上がって求愛していました。下からメスの生殖口を覗き込んでみると、わずかに膨らんでいるようですが、クロホシイシモチの産卵直前の様子と較べると、まだ開き方が足りないようにも見えました。また、オスのほうは1回だけ大きく口を開いてあくびをしましたが、その後はほとんど口を開かず、まだ準備が整っていないようでした。なにしろ、水深は20mもあり、長時間の観察は不可能ですから、結局産卵までは見られるべくもなかったのですが、その様子からして産卵時間はかなり後のことと思われます。観察していた時間は昼前ぐらいだったので、午後あるいは夕方ぐらいなのかもしれません。



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