「動」の美

 


僕自身もそうなのですが、フィッシュ・ウォツチャーと言うと、なぜか小さいもの好き・・・という人が多いようです。ひとつの理由としては、同時にカメラをやる人が多く、さらにその多くがマクロレンズを使っているという事情もあるのではないでしょうか。マクロレンズつきの一眼レフを持っているときに回遊魚の大群が現われても、「どうせ撮れないから・・・」と、なんとなく眺めているだけでしたが、現金なものでビデオカメラに持ち帰ると、途端に「光モノでも出ないかな・・・」なんて思ってしまいます。人間の意識なんて、持っている「武器」によってずいぶん目線も変わってしまうものだと、我ながら呆れてしまいますが、そんな気持ちが通じたのか、今回の屋久島は「光モノ」が大当たり! ボートダイビングでは1本ごとにヒレナガカンパチの群れと遭遇し、しかも後になればなるほど群れの規模はどんどん大きくなっていったのです。終いには、10匹ぐらいの集団では目もくれなくなってしまう贅沢さ。(笑)

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ヒレナガカンパチの群れがダイバーの周囲を取り囲むように乱舞するシーンを編集していて思ったのは、ふだん静止画しか撮っていないと、画像を構成する要素としては形と色ぐらいしか考えないものですが、回遊魚の群れなどを映像化する際には、「動き」という要素がそれ以上に大きいということです。水族館の回遊水槽を見たことがあれば想像がつくと思いますが、スピード感があるのになぜかゆったりとしていて、あれだけの質量のものが動いているのに静寂感さえ漂う独特な動き。これは、パワーを秘めたものが流体の中で運動するときならではの動きで、陸上ではまず見られない種類のものではないでしょうか。
静止画の世界では、こうした動きを瞬間的な形で表現するのが撮影者の腕の見せどころとなるわけで、制約があるところが逆に面白味につながるわけですが、カメラからビデオに持ち替えるとそうした制約が一気に無くなるので、それはそれで一種の快感となるわけです。カメラマンにビデオを持たせると一時やみつきになるのは、そんなことからかもしれません。



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