所変わっても・・・・

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クロホシハゼとクマドリテッポウエビ 09/21/2008 奄美大島

 クロホシハゼの巣の前に海藻を千切って置くと、ハゼも共生するクマドリテッポウエビも争うようにして巣から出てきて、その海藻を巣に運び込もうとする行動。以前石垣島で見せてもらったのを、「虎穴から出ずんば・・・?」というタイトルで紹介しましたが、同じ行動を奄美大島でも見ることができました。巣穴から出たり引っ込んだりしているクロホシハゼを見つけ、なんとか撮影しようとカメラを構えているとき、ふと石垣島のことを思い出したので、早速近くにあったよく似た海藻を千切り、巣の前に置いてみたのです。効果はてきめん、2~3分するかしないうちにクロホシハゼは海藻にとりつき、間もなくクマドリテッポウエビも出てきて、鋏でさかんに海藻をつかもうとしています。この反応のストレートさには、もう笑っちゃうほど。さっそく近くにいたガイド・スタッフの子も呼んで、一緒に観察することにしました。

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巣穴に入りきらないほど大きな切れ端を運んでいった

 最初に置いた小さめの海藻はたちまち巣穴の中に運び込まれてしまったので、今度は大きめな海藻を砂に植えるようにして置いてみました。これもハゼとエビの見事なコラボレーションにより、ズルズルと巣穴に運び込まれていきましたが、あまりに大きいので入口にひっかかり中に仕舞いこむことができません。これだけ与えればさすがにもう満足かと思いましたが、さらにもう一切れ置いてみると、懲りずにまだ出てきます。普段、近づいただけて引っ込み、なかなか出てこないほど臆病なクロホシハゼとテッポウエビ。身の危険も忘れ、ここまで執着するにはそれなりの理由があるのでしょうが、それが食べるためなのか、それとも巣作りなどに使うためのか、皆目検討もつきません。

 それにしても、700km近くも離れた石垣島と奄美大島のクロホシハゼが、人間の働きかけに対してまったく同じ行動をとったということは、よくよく考えると不思議なことです。行動を学習して真似したということはあり得ないので、もともと遺伝的に持っている習性としか考えられませんが、自然状態では突然目の前に海藻が置かれるなんていう状況は稀でしょうから、遺伝子にプログラムされた行動パターンというものでもなさそうです。しかも、ただその場で食べるだけなら条件反射的な行動ともとれますが、ハゼとエビが協働して巣の中に運び込み、もしかすると巣の中に貯蔵しているかもしれないのです。一見「文化」のようにさえ見える一連の行動には、きっと複雑な連鎖反応のようなものも絡んでいるのでしょう。

 人間以外の動物の行動は「機械」みたいなもの・・・・という考え方をする生物学者もいるようですが、見れば見るほど、考えれば考えるほど、そんな単純な話ではないという想いが強くなるのです。



“所変わっても・・・・”に2 件のコメント


  1. どーら

    海藻以外のものを置いたらどうなります?
    ちょっと前のキレイ好きのスズメダイのように、目の前のゴミを片付けてるだけだったりして・・・。
    安全上、離れた場所に捨てに行くわけにもいかず、巣穴の中にゴミ捨て場があったりしないでしょうかね?

  2. 魚っちゃー

    なるほど、逆の見方もあるわけですね。ちょっと試しに行くというわけには行かないので、いまのところはなんとも言えませんが・・・・。
    スズメダイの場合は、卵を産み付けてある上に置いたので、これは卵保護という意味でもすぐにどけなければなりません。いっぽう、クロホシハゼの場合は、巣から少しはなれた何もない場所に置いただけなので、ちょっと切実度が異なるかもしれませんね。
    エビも必ず出てくるので、きれい好きはハゼもエビも揃ってということになりますが、どうかなぁ。