お家騒動?

牽制しあうクマノミ 2012/1/7 奄美大島

 

クマノミはイソギンチャクの巣に仲良く暮らしているので一夫一妻と思っている人も多いでしょうが、どうもそうとばかりは言えないようなのです。実際伊豆では「浮気」をするメスも観察されていますし、ペアの組み換えもよくあるようです。今回奄美大島で見たクマノミの行動はおそらくそれに関係するのではないかと思うのですが、いままであまり見たことのないような不思議な行動でした。

 

オス2匹、メス2匹が組んずほぐれつ・・・

 

水深8mほどの砂地に小さな根が点在するなかでいちばん大きな岩の上の中層で5匹のクマノミが集まり、激しく泳ぎ回っていました、その動きがなにか尋常ではないのでしばらく観察していたのですが、そのうちなかの2匹が接近して追いかけ回したり、相手の横に並んで身体を斜めに傾けたりという動きを繰り返していました。どう見ても友好的な雰囲気ではないので、なにかを争っているようです。そのうち別の2匹も同じように突っ張り合いをはじめ、やがてくるくる回りながら組んずほぐれつのケンカになりました。最初は5匹の関係がよく分からなかったのですが、よく争うのは2匹のメス同士、そして2匹のオス同士ということが分かりました。もう1匹は尾鰭が白っぽいクリーム色で身体がやや小さく、あまり積極的に争いに加わることはありません。これは未成熟魚なのかもしれませんが、南西諸島のクマノミは伊豆のクマノミと尾鰭の色の出方が違うので、ちょっと自信がもてませんでした。

 

オス同士が争うとメスが割って入ることもある

 

ケンカになる頻度はオスよりメスのほうが少し多いかなというぐらいでしたが、面白いのはオス同士のケンカが長引くといちばん大きなメスが近づいてきて、まるで仲裁でもするかのように割って入るような仕草を見せることでした。理由はよく分かりませんが、オスがケンカをきっかけにして性転換してしまうことを警戒してのことなのかもしれません。メス同士のケンカは、縄張りの取り合いか、配偶者を失ったメスがオスと巣とを乗っ取りに来たということにより起こるのだと思われます。しかし、5匹が集まっていた岩には巣となるイソギンチャクはなく、そこから7~8mのところにある2か所の根からそれぞれ出張してきているようでした。水温の低いこの時期、繁殖行動も一段落して、縄張りやペアの組み換えのために、こうした順位比べのような行動が起こるのかもしれません。

 

メス同士の対決

 

最後まで争っていた雌同士のケンカがどちらの勝ちともなく唐突に終わると、なぜか大きいほうのメスはフラフラとその場を離れ、一直線に泳いで行きます。後をついていくと、10mぐらい先の岩の陰にある小さなイソギンチャクのところへ行き、そこに居たやや小ぶりで尾鰭の白い個体とケンカというほどではないけれど、しばらく絡み合っていました。このイソギンチャクには他に幼魚が1匹居ただけなので、ここを落ち着き場所の候補に考えていたのかもしれません。しかし、その後再びメスは放浪をはじめ、枝サンゴの森の中をあてどもなく泳ぎ続けました。移動距離はトータルで50m以上はあったと思われます。そして、何事もなく一旦イソギンチャクのところへ戻り、次に最初に5匹が集まっていた大きなところに戻り、どこからともなくダッシュしてきた別のメスと再びケンカを始めたのです。

今回見た行動は参加する個体数も多いし、行動範囲も広いので、とても1ダイブの観察で結論めいたことは言えません。しかし、もう見飽きたと思う普通のクマノミでも、まだまだ知られていない世界があることだけは確かのようです。



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