ニセモノ三兄弟



kuroguchi.jpgクログチニザ 2006.10.1 八丈島

よく「目が泳ぐ」なんて表現をされますが、ウソをついている人間は目つきに落ち着きがなくなり、いかにもインチキ臭い表情になってしまうから怖いものです。某政党前代表の某氏も、なんか目の泳ぐ人だなぁ・・・と思って見ていたら、そのうちホリエモン・メール問題でウソがばれ、たちまち辞任するハメになってしまいました。ま、そんなことはどうでもいいのですが、さかなの世界でこのウソくさい目をしている代表がクログチニザではないでしょうか? このクログチニザ、幼魚のうちはすばしっこいヤッコの仲間の真似をして、ヤッコを見てもハナからあきらめてしまう捕食者の目をごまかしています。ところが、詳しい人にかかると、悲しいかなその目つきが災いして簡単に見破られてしまうのがオチなのです。ところが、八丈島で見たこのクログチニザ、どう見てもナメラヤッコそのものです。後でよくよく画像を見てみれば、鰓蓋の下に鋭い棘がないことからヤッコではないと分かるのですが、僕は水中で撮影している間じゅうナメラヤッコだとばかり思っていました。



kuroguchi5.jpgこれでもナメラヤッコ似? 2006.09.30 八丈島

 

八丈島あたりで見る大部分のクログチニザの幼魚は、全身が黄色で、ヘラルドコガネヤッコに擬態しているのではないかといわれています。コガネヤッコが多い場所では、クログチニザも目の周囲が青くなり、コガネヤッコ似になるそうですが、これも考えてみると不思議な話ですね。この、全身真黄色のクログチニザの中に、身体の後半部がぼかし風に黒くなっている個体がたまに見られます。以前はナメラハギと呼ばれ別種と見られていたのですが、その後クログチニザのバリエーションであることが分かりました。「ナメラ」とつくように、これはナメラヤッコに擬態していると考えられているのですが、それにしてはナメラヤッコの前半部が白いのに、こちらは黄色。あまりと言えばあまりにもヘタな擬態だと思っていたのですが、今回見たこの個体はまさにナメラヤッコ・タイプそのものだったのです。

 



kuroguchi4.jpg比較的よく見かけるヘラルドコガネヤッコ・タイプ 2006.10.01 八丈島

 

擬態がいったいどのようなメカニズムで現れるのかは生物学上の大きな謎です。まさか、人間が何かに化けるように、目でその特徴をつかみ、意識的に身体をそれに合わせているわけはないでしょうが、あるいはある環境下ではこのような形態・体色になる・・・・というような仕組みが働いているのかもしれません。それにしても、ヘラルドコガネヤッコ・タイプとナメラヤッコ・タイプだけが存在するなら、擬態の意味もよく分かるのですが、およそどちらにも見えない「ナメラハギ」タイプまでなぜ存在しうるのでしょうか? これがナメラヤッコに見えるほど、クログチニザの天敵の目はフシ穴なのかなぁ・・・・。



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